街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

見覚えのある感情

仕事帰り、春っぽい白のジャケットを買ってしまった。年々春が短くなっている気がするし、今春においては疫病で出かけることすらままならなくなっている。果たして何回くらい着れる機会があるのだろう。
ジャケットをしまったバッグを抱えて乗り込んだ電車の中で、今朝見た夢のことを思い出した。ずいぶん久しぶりに出てきた、親友だった女の子。彼女とは学生時代によく一緒に遊びに出かけていて、お互い結婚してからも連絡だけは取り合っていたのにいつの間にか疎遠になってしまった。彼女は今漫画家として活躍しているらしい。
夢の内容を思い出そうとする。お互いに初めて出会ったような感じの設定だった気がする。ただ楽しいだけではなかったけど、悪い夢ではなかったはず。もっとちゃんと書き残しておけばよかった。
今の殺伐とした世の中でも、自分の夢の中くらいは優しい世界のままであれと思う。本当は早くいろいろと落ち着いて、好きな人と好きな場所へ、好きな服を着て出かけられるようになればいいのだけれど。