街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆるやかな終末

このところの騒動による自粛ムードと物資の買い占め、どことなく世の中に漂う閉塞感。なんだかあの時と似ているように感じて気分が悪い。歯医者さんへの通院を終えて歩いていると自宅近くに数件あるドラッグストアにはどこも人集りができていた。その光景が…

音楽が鳴り止むまでは踊り続ける

中座した人を待ちながら煙草に火をつける。店の有線から流れる懐かしい曲。隣のテーブルから聞こえてくる、たまたま居合わせた誰かの昔話。アルコールの回ってきた頭を過去が通り抜けていく。いつもより酔いが早い、自分が病み上がりだったことを思い出す。…

猫の日、忍者の日、

数年前の初夏のこと。母方の祖父が入院していると聞いて姉と二人で新幹線に乗り、お見舞いに行った。先に病院に着いていた母と叔父が迎えてくれる。「大きくなったね!」にこやかに叔父が言う。叔父と前にあったのは小学生くらいの頃だったはずだから確かに…

よくある感傷ごっこ

茶碗を洗っていると軋んだような音がした。よく見ると薄っすらとたくさんのヒビが入っている。落とした記憶もないしさほど長く使っていたわけでもないけど安物だから仕方ないのかな。イヤホンの片側から音が出ない。どうやら断線してしまったらしい。物が壊…

かさぶたメッセージ

都内某所のプラネタリウムで解説をしていた女性の声がとても好きで行くたびに癒されていたのだけど久しぶりに行ったら別の方になっていた。さみしい。 呼び鈴が鳴る。宗教の勧誘や訪問販売が多いのでそっとドアスコープを覗くと父が立っていた。ノーアポで訪…