街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

猫とダイヤモンド

目の前を横切る猫じゃらしを捕まえた時に、猫は果たして自分が人間に捕まえさせられていることに気づいているのだろうか。僕もそう、途中で気づいたとしてもやめられない。捕まえさせられていたとしても別にいいのだ。
そんなことをぶつぶつ呟いていたら
「あなたの愛は屈折していそうだものね」と友人に言われてしまった。そんなことはない、僕の愛はきっと誰よりも真っ直ぐなはず。別に屈折してるのは悪いことじゃないわ、と前置きして、
「ダイヤモンドが美しく輝くのは光の屈折と反射によるもので…」そう続ける彼女はフォローしてくれているようだったけれど、きっと本当は誰に肯定されても否定されてもどうだってよかった。退屈そうにしていると、目の前を黄緑色のふわふわしたものが横切る、僕は反射的にそれに飛びつく。