街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

猫の日、忍者の日、

数年前の初夏のこと。母方の祖父が入院していると聞いて姉と二人で新幹線に乗り、お見舞いに行った。先に病院に着いていた母と叔父が迎えてくれる。
「大きくなったね!」にこやかに叔父が言う。叔父と前にあったのは小学生くらいの頃だったはずだから確かに大きくはなったのだけど、当時の僕はもう30歳手前くらいだったのでそう言われると不思議な気分になった。むしろ叔父の方が大きくなっていた、横幅が。
結局その日祖父の意識は戻らずに僕と姉は話もできないまま病院を後にし、容体が安定したとかで夜には母も帰宅したらしい。訃報が届いたのは翌日の朝だった。
通夜の後に親戚たちが朝まで賑やかに飲んでいたことくらいしか葬儀のことは覚えてない。

今日はカレンダーを眺めながら、祖父の誕生日だったことをなんとなく思い出していた。生前に祝ってあげたことはなかったかもしれないけど。