街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

音楽が鳴り止むまでは踊り続ける

中座した人を待ちながら煙草に火をつける。店の有線から流れる懐かしい曲。隣のテーブルから聞こえてくる、たまたま居合わせた誰かの昔話。アルコールの回ってきた頭を過去が通り抜けていく。いつもより酔いが早い、自分が病み上がりだったことを思い出す。
体調を崩す度に自分がまだ働けるのか、収入を得られなくなった時どうするかを考えてしまう。少し前まで死に方ばかりを考えていたのに、いつの間にか生き方を考えるようになっている。どうやら通院も無駄ではないらしい。
かといって希望に満ちた今を過ごしているわけでもない。部屋に帰れば買ったまま読んでいない本や雑誌が数年分溜まっているし、パソコンを開けば後で読もうとブックマークした誰かのブログがたくさんある。文字がうまく脳に伝わらない時期が長すぎた。
終電ももうなくなったし、少し未来の話もしてみようかな。それからラストシーンはどうするの。それを考えるのはまた今度。