街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

ヒイラギ

息子の卒業式に行ってきた。
疫病の影響で会えない期間が長かったとはいえ、知らない間にずいぶん大きくなっていた。これからさらに会う機会も減って、彼は僕の知らないところで大人になっていくんだろう。そもそも彼にとってはもはや僕と一緒に暮らしていない人生の方が長いのだ。
本当は式が終わった後に渡したいものがあったのだけれど、感染対策や他の保護者たちとの兼ね合いで直接会うことは叶わなかった。現実はそうドラマチックにはならないものだな。
帰宅すると叔父から息子へのお祝いが届いていた。お礼を伝えると最近の僕の体調を知ってか知らずか気遣いのメッセージをくれて、思わず涙が溢れた。周りの大人たちからすると僕は子どもの頃から少し変わっていたようで、叔父二人と祖父はなにかと気にかけていてくれたことを思い出す。これから息子がどんな人生を送るのかは誰にもわからないけれど、息子にとって僕がそういう存在になれるといい。今は自身の生活すらままならないが。
卒業おめでとう。どうか元気で、お気をつけて。