街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

昔、僕の隣で寝ていた人が

今どこで何をしているかは知らないが、昨夜は僕の夢の中にいたらしい。

彼女には夢があって、それに向かってそうとうな努力をしていた。当時の僕には未来なんてまったく見えていなくて、見ようともしていなかった。彼女にもそれがわかっていたらしい。
別れ際の「あなたには中身がない」という台詞は、夢にしがみつくことさえできずに冴えない日々をやり過ごしている今も消えない。僕は空っぽのまま、それを埋めなければという焦りとともにある。僕にかけられた呪いの言葉。

一人暮らしを始めた時にプレゼントされたペアカップは今でも使っていて、彼女のカップだけが埃を被っている。