街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

正義の味方になりたかった

悪を倒して人々を守る、ヒーローに憧れていた。ヒーローになれなかったとしても、大切な人を守るために地球防衛軍に志願するんだと思っていた。大人になって正義が戦っているのは悪だなんて単純なものじゃなく、別の側の正義だということが少しずつわかってくる。むしろ今まで正義だと信じていたものさえ疑わしくなる。信じていたもの信じられなくなる、ちょっとした悲劇だ。ならばいっそ、純粋な悪の方が潔いしわかりやすいのでは。僕が世界を悪に染めてやろう。そう考えたら少し気持ちが楽になり、今まで敵だった悪役たちが愛おしく思えてきた。

派手なスーツでクールに決めて、悲しみとともに踊る。踊りは下手でも構わないんだ。僕の悲劇は喜劇に変わる。