街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

ロックンロール・ガール

かつての恋人はギターを弾いていた。同じバンドが好きだったのをきっかけに知り合って、少しだけ一緒にバンドを組んだりもしてた。すぐ解散しちゃったけど。バンドばかりで構ってくれないのが嫌で、彼の曲をちゃんと聴いていなかったたのを思い出す。そんな彼が今やっているバンドのことをインターネットで知って、レコードショップでこっそりCDを買ってみた。わりとイイ線いってるじゃん。わたしは何様なんだろう。さすがにライブには行けないけど、それからも新譜が出るたびに買って陰ながら応援してる。何枚目かのアルバムに、きっとわたしのことを歌ってるんだろうな、という曲を見つけた。二人の思い出と、二人が好きだったバンドのオマージュが混ぜ合わされている。なんだか嬉しくなって、少し切なくなった、ある春の日。