街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

ロードムービー

映画を観ていた。
旅の中で様々な人や出来事に触れ、時には独りで自身と対話する。そしてまた退屈な日常に戻っていく、少しだけ成長した主人公。エンドロールが終わった後も彼の人生は続いていくんだろう。
傍観者の僕も自分が少し変われたような素敵な勘違いをして席を立つ。

夢を見た。
仲の良い先輩・後輩と久しぶりにバンドを組んだ。練習のためになぜか先輩が北海道のスタジオを予約して、レンタカーを借りて3人で北へ向かうところで朝を迎えてしまった。目が覚めた後も旅が続いていたらいい。

楽しい夢の後は厳しい現実を見る。
家庭も仕事も辛いことはたくさんあって、世の中そんな人たちで溢れている。そして、それを抜け出す出口には長蛇の列ができている。
死ぬくらいなら逃げればいい、と誰かが正論を言う。
確かにそうだ、だけど逃げたその後にも生活は続くんだよ。

並び疲れた僕は列を外れ、映画館に入る。
ほんの少しだけ、何かが変わるんじゃないかと期待しながら。