街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

あたたかな日々を転げ落ちる

祖父が危篤だと早朝に報せが来たのは、夏の終わりが近づいた頃だった。詳しい状況がわかったらまた連絡すると言われて仕事に行く支度を整える。平静を装ってはいたものの混乱していたのだろう。連絡をもらってすぐに向かっていれば間に合ったかもしれないのに、いつもの通勤時間に家を出ようとしたところで訃報が届いた。葬儀の記憶は曖昧だけれど、父と交代で線香の番をしたこと、夏の初めに母方の祖父が亡くなってから不幸が立て続けにあって慣れてしまっていたのか大好きな祖父のために涙が流れなくて悲しかったことは覚えている。
前々からその時のことを書き残しておこうと思いつつ先延ばしにしていたけれど、先日有給が取れたので祖父と叔父の墓参りに行ったのがたまたま祖父の誕生日だったのでこの機会に。