街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

うつくしいしあわせ

わたしは自分の名前を気に入ってない。
よく言い間違えられるし、まぁそれだけではないのだけど。

俺はいいと思うよ、君の名前。
でも俺も自分の名前は嫌いだな。
みんな苗字かあだ名でしか呼んでくれない、本当は下の名前で呼ばれたい。この間なんか、飲み屋で知り合ったおっさんに戦国武将みたいな名前だなって言われたんだぜ。

そう言ってくれた彼は今はもう隣にいないけど、いつの間にか親しみを込めてわたしを呼んでくれる人は増えたかもしれない。まだこの名前を好きにはなれないけれど。
彼の方はどうだろう、ちゃんと下の名前で呼んでくれる人はできたのかな。
もっとたくさん、名前を呼んであげられたらよかったかな。