街角にて

どこかの街の、誰かの物語。

踏切のあの子は人違い

自堕落な生活を続けて預金残高と体重ばかりが減っていく。たまるのは埃と吸殻と心のもやもや。かろうじて洗濯物は片付けてる。
街でよく似た人を見かけたから、今夜は君のことを考えて過ごしてる。あの日橋から投げ捨てた思い出はちゃんと海まで辿り着けたのだろうか。今でも川底に沈んでいるとしたら少しだけ悲しいけど、それはそれで情緒があっていいかもね。だから探しには行かない。そんなことをつぶやきながら一人、安酒で乾杯。この場合は献杯の方がふさわしいかな。次の朝が来たら熱いシャワーでいろいろ洗い流そう、部屋の掃除をしよう。だから今はこのまま思い出と酒に浸らせてほしいな。